仕事帰り、
「返したい物がある」というMさんとJR本八幡駅前で待ち合わせし、食事することになった。
待ち合わせ場所に行ってみると、Mさんがなんだか浮かない顔。 指さした方向を見てみると時計の上にハトが止まっているんだけど、 ハト避けの針金の上に見事に着地してしまって動けない状態になっていた。

財布を投げたりしても反応はするけど、やっぱり動けないみたい。
刺さったりはしてないので、ハネの間に針金が挟まっちゃったんだろう。
JRの職員の人に声をかけると、しばらくして違う駅員がやってきた。
しばらく、けだるそうに下から見たりしてから、
「留っているだけですよ」
と言い出した。
いやいや、 財布を投げたりしても動かなかったと力説し、ひっかかってるから棒か何かでつついてやってくれないか、と頼むと今度は
「もし弱ってて階段の部分に落ちて放置されたら通行人の迷惑になるからなぁ…」
と言い出したのだ。何度も何度も、それを言う。
「死骸を放置していても、それこそ邪魔だし…」
そう、こいつは「もし飛べなかったらあんたが責任を取って死骸などの処分出来るの?」と
訴えてきているのだ。・・・この人間は、何を言ってるんだろう。責任が怖くて、いや、面倒で、このままハトを見殺しにしようというのだ。 それも気が付いた民間人が助けを求めているというのに。
あのままハトを死なせたらそれこそ、ハトはそのまま朽ち果てて「切ない本八幡駅のシンボル」になるし、 ハトはさらし者になってしまう。余りに低レベル。あからさまにダメな考え方。
そんな心配よりも、まずは生き物の命だろうが!!!!子供でも分かるぞ!! うっ、こいつのような人間が本八幡に居ることに吐き気がしてきた。
根気に負けたのか、ようやく棒を捜し、突いてくれた。
すると、ハトは元気よく飛び出した。おおー、やったね!
「ほら、留まってただけでしたね・・・」
とクソ駅員は言い残したが、どう見てもそうじゃないことは明かだし、 やってみなければ分からなかった事柄だ。なかなか自分に自信が持てないオレでも、このクソ男よりは良い男だと確信出来た。
あんたもさ、仕事なんだから、仕事中くらい、せめて仕事をこなせよ。
こいつの 子供や嫁さんがもし居るなら、可哀想だなぁと想った。
悪いけど絶対に幸せじゃないと思う。
怒りも覚めないまま、でもハトが助かったんだから良かったね、と
話ながら向かったのは中華料理の南八幡の水鳳。
空心菜の炒めモノや海鮮お焦げ、デザートなど、いつものメニューを美味しく頂いた。
Mさんが返したい物は、それはオレとみんなの写った写真集だった。
国府台でのバーベキュー、高円寺の藤を見に行ったとき。
大野町のこいのぼり祭り、アイキャンガーデンの亀、
手話サークルの様子、フルーツパーティの写真などなど…。
オレが撮影してネットのメッセンジャーで渡した写真や、
Mさんやその他のカメラマンが撮影した名作写真がギッシリ。
ページごとに素敵なメッセージも添えてあって。
なんか、良い映画を見た後のように、ムズムズした。
本当に、本当に、本当に、ありがとう。オレは、こんなに愛されてる。
親に見て欲しいな、こういうのを。ほら、タダの安月給男じゃないぞ!って(笑)
にしてもまたMさんに借りが出来ちゃった。
恩返しをしないとな。
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